陸上競技における厚底シューズの存在

陸上競技世界選手権が、9月13日からこの東京で開催されます。
自分も短距離走で現役を続けているので、いわゆる厚底シューズを使ってみての思いを書いてみました。

陸上競技界での厚底シューズが開発されて6年以上が過ぎました。
もうそれを使わないと勝負にならないほど、競技者の間では利用が進んでいます。
自分自身も、トラック用スパイク・ロード用シューズ新旧トップモデルを含めて複数所有しています。
使ってみると反発力がかなりあり、使いこなせるようになると、よりスピードが上がるのを実感出来ます。
年齢的にスピードに衰えを否めない自分自身でも、まるで若返ったかように(笑)スピードが上がり、嬉しく感じる次第です。
皆様、体育授業で飛び箱の経験はおありになるかと思いますが、その時に用いるロイター板はかなり跳ね上がりますよね!
まさに靴裏に、ミニロイター板が付いているような感覚です。
厚底シューズの推進力は、カーボンプレートによる板バネ効果・ミッドソールの反発力・ミッドソールの最適化された傾斜からなります。(発明家のドクター中松さんが、過去にスーパーピョンピョンというジャンピングシューズを商品化しています。これは板バネ効果を利用した製品です)

陸上競技における道具の進歩で、記録がより顕著に向上したのは棒高跳びです。
棒の素材が木・竹・金属・グラスファイバー・カーボンファイバーと推移して、現在に至っています。
他の競技では、スケートのスラップスケート靴・水泳の高速水着etc.
さすがに浮力のついた高速水着は廃止となりましたが、、
各競技、道具のルールは定められていて、いわゆる「同じ土俵」内の競い合いとなっています。
でもその同じ土俵とは、スケートは無理として、なるべく道具を身に着けない事が理想かな?とも思います。
またその土俵そのものも、高速トラック・高速リンクと呼ばれるような施設が、工夫の上で造られています。
たらればその工夫が、
☆トラック・リンクに磁気仕掛けで、シューズも磁気仕掛けにより高反発・高推進にする
☆プールの水に大量の塩を溶かし、死海のようにより身体が浮くようにして、高速プールを謳う
なんて事になってしまったら…察しがつきますよね!

トレーニング理論や技術論・スポーツ心理学等の進歩で競技力が向上する事は望ましい事と思いますが、道具や施設の過剰な進歩・工夫に委ねた競技力向上はいかがかと思う次第です。

陸上競技での厚底シューズ使用以前の世界記録・日本記録は、まだいくつか存在します。(ドーピングが疑わしい記録もあります)
「記録は破られるためにある」
厚底シューズでの記録更新を期待しながらも、厚底シューズ使用前の偉大な記録が過小評価されない事も願いたいです。

皆様、今回の世界選手権も含めて、陸上競技の厚底シューズの存在にも注目してみてください。